母乳とミルクの違いは?

「やっぱり母乳で育てたほうがいいんですよね?」と聞かれることがよくありますが何故そう思うのかを聞くと必ず「母乳の方が免疫があって病気になりにくいんじゃないかと思って。」という答えが返ってきます。はたしてどのくらいおっぱいをあげれば病気のなりにくさに違いが出るほど差が出るのでしょうか?

確かに小児科の中でも未熟児を担当しているドクターにとって1000gよりも小さな赤ちゃんの場合何とか母乳で育てたいという思いは切実です。それは壊死性腸炎など赤ちゃんの生命に関わるような病気の罹りやすさや重症度が母乳かどうかで変わってくるからです。また赤ちゃんが未熟児で生まれた場合お母さんの身体は小さな赤ちゃんに合わせて濃いおっぱいを作ります。しかも赤ちゃんの身体に負担のないように消化酵素入りのおっぱいを作ります。そういう大切な違いはもちろんありますがそれよりも今関心を寄せているのは赤ちゃんの感覚の育ち方の違いについてです。赤ちゃんは自分のお母さんのおっぱいと他のお母さんのおっぱいの匂いの違いを嗅ぎ分けています。それは生後数ヶ月の赤ちゃんを放射状に寝かせてその上をお母さんのおっぱいを染みこませた母乳パットをグルグルと回すとちゃんと自分のお母さんのおっぱいが頭の上を通った時だけ赤ちゃんが鼻をよせる実験でもわかります。またお話ができるようになった2~3歳の子に「今日のおっぱいの味はどう?」と聞くと「う~ん?今日のおっぱいはねえ・・・」とちゃんと説明をしてくれることでもおっぱいっていつも変化しているということがわかります。

以前のブログにも書きましたが人工的なものが入れば入るほど本来持っていたはずの感覚が失われていくように感じています。毎日毎回味が違うおっぱいを飲んで「う~ん今日の味はねぇ?」とその味をかみしめて育つことと、味の変化のないミルクを飲んで育つことと同じではないのでは?とは思いませんか?